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私はゆとりど真ん中の世代です。

確かに円周率は「3」で計算する方法もあるよと習いました(実際は3.14というのもちゃんと教わってます)。また、台形の面積も公式では習いませんでした。

こんな話をすると、「ゆとりだから~○○」と言われたりします。このように世間では何かと「ゆとり」を悪口のように使う傾向にあります。

しかし、ゆとり教育は本当に失敗だったのでしょうか?

私はそうは思いません。私自身が何か実感しているということは無いですが、ゆとり教育の目指した精神はこれからの日本の在り方に沿ったものだったと思っています。今回は「ゆとり」とは何なのかを社会学的視点から考えてみたいと思います。

1.ゆとり教育の目指したものと実際


ゆとり教育というと、休日が増え、勉強量を減らしたというのが前面に出ていますが、理念としては「生きる力」の育成がありました。これは「総合」という教科が新設されたところに最も現れました。

総合というのは、私の経験では調べ物学習・それについてのプレゼンがメインだった記憶があります。ただ、確かに学校の都合でクラス活動の時間になっていた側面も否めません。

また、「生きる力」というのも極めてあいまいな表現であり、何が「生きる力」だったのかはよく分かりません。

現状から言えば、「組織のなかで、人間関係のなかで、自己を発揮させていく対人関係能力」(矢島 2011:P58)が「生きる力」になってしまっていました。これは要するに、「生きる力」とは、「空気を読む力」、「組織・人づき合いを上手くこなす力」であるとするものです。このため、これが苦手な子供、今風に言えばコミュニケーション能力の無い人というのは「生きる力」の低い落ちこぼれなので、社会から疎外されるようになり、その帰結として不登校や引きこもりが現れたわけです。

この点で、確かにゆとり教育は失敗だったと思います。また、理念は分かりますが、それを現場に徹底させる努力を怠り、ただ勉強時間を減らすという時間的ゆとりをつくりだすだけで終わってしまった点は否定のしようがありません。

ですが、だからと言ってゆとり教育はだめなのでしょうか?

2.そもそも「ゆとり」とは?


我々は「ゆとり」という言葉を使いますが、その意味するところは何なのでしょう。

辞書を引くと、「物事に余裕があって窮屈でないこと。余裕。 」(大辞林 第三版)とあります。そりゃ、そうだろうと思うでしょうが、ここは少し学術的に考えてみましょう。

突然ですが、「効率化」とは何でしょう?

また辞書を引くと「より効率的に作業や学習などができるようにすること」(実用日本語表現辞典)とあります。

作業で例えて考えてみましょう。

例えば、ある作業、そうですねえ、昔のように印刷作業をガリ版でやっていたとしましょう。ガリ版印刷では、ノルマである1000枚の印刷を8時間でやっていたとします。

ところが、コピー機の登場で作業時間が大きく減りました。1000枚が4時間で出来るようになった、と仮定しましょう。
これはまぎれもなく効率的になりましたよね。

すると、4時間分余裕ができましたね。

この4時間で何をしようという話です。

Aさんはこの4時間でもう1000枚印刷しよう!と考えました。
Bさんはもうノルマは終わってるし、4時間は遊びに行こう!と考えました。

このAさんの考え方を「効率化」と呼びます。
逆にBさんの考え方を「ゆとり」と呼びます。

結果的に、社会情報学という学問の中で、「効率化」と「ゆとり」は実は対立する概念であるということになるのです。

この考え方はもっと一般化しても言うことが出来ます。

3.ハイパー産業化社会とポスト産業化社会


ハイパー産業化社会とは、「効率化」を第一に考える社会です。

もっと早く、もっと効率的に、もっと頑張って、もっとたくさんのものをつくらなければならないとする考え方の社会です。ここでの豊かさの象徴は「もの」あるいはその原資である「お金」です。

豊かになる手段は「お金」を稼ぐ「仕事」にありました。結果的に、仕事をバリバリやる、仕事が出来る人間はえらい、優れているという考え方になっていきます。そしてそこでは熾烈な競争が発生しており、競争に勝つためには高いスキル(学力、学歴も含)が求められました。教育はそのスキルを磨く最も手っ取り早い手段だったのです。そのためこの時期は管理教育あるいは詰めこみ教育というのが常識だったわけです。

日本では高度経済成長期がその典型的な時期になっています。

一方、「ゆとり」が大事と考えるのがポスト産業化社会です。

心安らかにありたい、精神的に豊かでありたいというのがポスト産業化社会で望まれるものです。ここでの豊かさは「精神的な豊かさ(幸福感・満足感)」が決めました。

簡単に言ってしまえば、自分の道は自分で決める、自由に生きる、夢を追う、自己実現をするというのが「良い」とされる社会なのです。結果的に仕事は自己実現、精神的な豊かさを求めるためにやるものであるということになります。また、仕事時間が長いのは嫌なので、そういう意味で効率化が求められます。

日本では、バブルの時期がそうだったと言われますが、都市と地方では感覚が少し違うのではないかと思うので微妙です。

4.今の日本はどっちだ!?


現在の日本は、ハイパー→ポストときて、再びハイパーに戻りつつあるという感じです。
中間にあるということですね。

どういうことか。つまり、「頑張って、仕事もバリバリこなしつつの、自己実現」というものです。
もっと言いかえれば、世間体もばっちり、安定もしている、かつ自己実現です。

なので、「自己実現が出来る仕事」がしたいと多くの若者は考えます。しかし、今の多くの人は「自己実現」以前に自分が何をやりたいのかがあいまいであることが多いです。そのため、それを探して漂流してしまうことがあります。「自分探し」とかですね。

また、それがはっきりしている人でも、それを完璧に出来る仕事はそうそう無いので、結局妥協して「ん~?」というところに入ってしまったりします。

ですが、さっきも書いたとおり「効率化」と「ゆとり」は対立概念です。両立は極めて難しいです。

世間体や安定を選べば、自己実現が遠のきます。一方で、自己実現を追い求めれば、世間体や安定を失います。
ここに多くの人が抱える現代社会の生きづらさがあるのです。

また、教育でも、学力調査の結果が下がっているので学力低下の危機が叫ばれゆとり教育は転換されました。本当に学力が下がっているのかは議論がありますが、本筋からずれるので置いておきます。これも世間体あるいは安定欲求の裏がえしですよね。世界での立ち位置が下がってしまうことへの不安、これからの子供がどうなってしまうのかの不安。それがゆとり教育転換の大きな要因になったのだと思います。結局、ハイパー産業化社会的な思考にある程度回帰したと考えられるわけです。

5.これからの日本は?


では、これからはどうなるのでしょう。

以降は単なる予測ですが、確実に「産業の個人化」が進んでいくと思います。

IT産業の革新で、今までは大勢でなければ出来なかったことが、一人でも出来るようになっていくはずです。現にどんどんなっています。

そうなっていくと、既存の企業体が出来ることは先進国では縮小していくはずです。

となると、世間も個人化し、安定はますます難しくなっていくでしょう。企業が国内からいなくなるので。あるいはいなくならなくても、非正規に仕事をやらせれば企業は大丈夫なので、個人は企業に対し力を失っていくと考えられます。

これはハイパー産業化社会の終焉を意味します。安定の消失です。こうなると大きく2つの動きが発生します。1つはナショナリズムです。安定が揺らぐと、人はもっと安定したものに帰属したがります。一番簡単なのは「国」です。今ここにあって、そう簡単には無くならない、安定したものだからです。ヨーロッパでは右翼政党が勢力を伸ばしていますが、これが1つ要因にあるでしょう。日本でもそういう動きがネット等では特に見られます。もう1つは安定を諦め、「ゆとり」へ舵を切ることです。真の意味での個人主義を目指す動きです。

私は後者を推しますし、自分もそうありたいと思っている人間です。私、個人が考える「生きる力」とは「自分一人で考え、責任をとりつつ、社会に貢献していく力」です。これを伸ばすことが出来るのが本当の「ゆとり教育」なのではないかというわけです。社会や他人に立脚するのではなく、まず自分が自分に立脚し、社会や他の人は上手く使いつつ彼らに貢献していくというのが大事なのです。人を使うというとなんか悪く聞こえますけど(笑)その手段として企業に入ってバリバリやるぜ!というのは素晴らしいことだと思います。

6.まとめ


要するに、これからは「個人」が主役にならざるを得ない時代が来る可能性が高いので、そのためにも「ゆとり教育」で「生きる力」、すなわち「自分一人で考え、責任をとりつつ、社会に貢献していく力」を伸ばしていくことが必要なんじゃないかと私なんかは考えるわけです。

そういう意味で、学力調査の結果うんぬんというのは一つの要素に過ぎず、それで騒ぐ人々は「何を騒いでいるのかしら」と思っていたりします。それとこういう力は学校で教えるのは限界があるので、出来る場合には各家庭でやっていく必要があるのだろうとも思います。

そういえば、ずいぶん前に新聞で岡田斗司夫さんが、総合的な思考力とりわけ問題解決力が大事であるという話の中で、具体的には①論理力②人望③金④コネ⑤運の掛け算だという話をしていました。

こういうのも参考になるのかもしれませんね。

というわけで、長々としたお話になってしまいました。

では~

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